多くの企業が「サスティナビリティ」を当たり前のように叫ぶ時代に突入している。今や、「持続的な社会とは何か?」ということが日々当たり前のように問われるようになった。
しかし、それを消費者目線で分かりやすく発信している企業はいったいどれだけあるのだろうか。
大手化粧品メーカーの資生堂は、美を起点として環境や社会、文化などさまざまな観点からサスティナビリティに対する取組みを行っている。
ウィンドウアートとは、その名の通りショーウィンドウなどのディスプレイを装飾しアートを催したものを言う。
集客目的で看板の様な役割を果たすものだが、お客様により分かりやすく伝えるために文字ではなくイラストで表現しているものが多く、その場の雰囲気や展示物に合わせたデザインが多いのも特徴のひとつ。
銀座の生態系を可視化したウィンドウアート
そんな資生堂が「銀座の生態からサスティナビリティを考える」をテーマにしたGINZA Sustainability Projectの一環として銀座オフィスに催したウィンドウアートが話題に。
銀座の様な格式高い客層の集まるエリアでは、どうしても販促よりになりがちなウィンドウディスプレイ。
その場所で、まさにその銀座を俯瞰的に見て、銀座の街をフィールドワークし、そこにある生体の循環に目を向けるために可視化したディスプレイを展示したのだ。
観察され採取されたアイテムたちは立体型にコラージュされ、見る人が銀座の生態を改めて考え、循環について考えるきっかけづくりに。
ディスプレイは資生堂らしく小洒落た雰囲気を保ちつつ、展示物は過去に植樹されたイチョウの葉や銀座に生息するメジロの彫刻など、子供でも視覚的に理解できるものばかり。
大人はもちろん、まさに子供から高齢者まで皆が平等に「サスティナビリティとは?」という永遠の議題について考えるきっかけとなるウィンドウアートのインパクトは絶大だった。
目にした多くの人々がつい誰かに話したくなるようなインパクトあるものになったに違いない。
社会性を重視した訴求点がインパクトのフックに
後に多くのメディアでもこの資生堂のディスプレイは話題を呼んだが、純粋に企業のブランド広告が話題になったのではないことは明らかだ。
資生堂という一企業が社会に発信したメッセージがいかに普遍的で重要なメッセージであったということに尽きないだろう。
この展示は前期、中期、後期、それぞれのフェーズに合わせて年間を通した展開を予定していて、今回8月末までは「銀座に生息する植物や生物」がメインとなっていた。
ついつい足を止めて見入ってしまう、そしてついサスティナビリティについての考えに思いを馳せてしまう、そんなディスプレイの今後のフェーズにも目が離せない。