銭湯の洗い場にある鏡に掲示された広告を「鏡広告」という。
銭湯数の減少に伴い、鏡広告の需要も減りつつあるなか、近年、大阪の銭湯「千鳥温泉」の鏡広告がテレビやネットで取り上げられ、話題を集めている。
鏡広告とはいったいどのようなものなのか。この記事では、鏡広告について紹介する。
鏡の張り替えのために「鏡広告」を導入
件の銭湯・千鳥温泉は、大阪市此花区にある。
2017年9月、現在の経営者・桂秀明氏が脱サラして千鳥温泉の経営に乗り出したところ、利用客から古くて曇りがちとなっていた浴場の鏡を交換してほしいとの声が上がったという。
しかし、すべての鏡を交換するには費用面でかなりの負担がかかる。そこで思いついたのが、鏡と一体化した「鏡広告」を入れてもらうアイデアだった。
その後、SNSを通じて広告を募集したところ、瞬く間に全39枠が完売。結果、すべての鏡が新品となったばかりか、手書きで制作されたレトロな鏡広告見たさに来客数が増える相乗効果が生まれたのだとか。
現在、千鳥温泉の鏡広告は大阪府貝塚市の看板屋「サインズシュウ」が制作を担当している。内容はゲームの対戦相手募集から商品の宣伝、恋人募集までさまざま。手書きにこだわった昔ながらのレトロな鏡広告は半年間の掲示後に自分で引き取ることも可能となっている。
八戸の銭湯にもユニークな鏡広告がある!
青森県八戸市新井田の「八戸銭湯オールウェイズ」は2020年5月にオープンした新しい銭湯だ。
昨年、オープン1周年を記念して鏡広告のデザインを募集したところ、20枠に対して2倍以上の応募があったという。
その鏡広告は2021年5月にお披露目。「ホタテの水着売ってます」「空前絶後の理想の田舎、階上町」などユニークなキャッチコピーが評判を呼んだ。
同銭湯では、今年も鏡広告のデザイン案を募集。昨年は新型コロナウイルス感染対策のため間隔を空けて掲示されたが、今年は新規募集した鏡広告で一つ飛びだった空きスペースをすべて埋めるのだという。
デジタルありきの現代社会において、レトロでアナログな鏡広告が再び脚光を浴びつつある。銭湯を訪れた際は、ぜひ注目してはいかがだろうか。