デジタルサイネージとは、ディスプレイなどを通じて情報を発信するシステムのこと。近年は、駅や電車内などいたるところでデジタルサイネージ広告が展開されるようになった。今回は、空港間のデジタルサイネージネットワークを利用した次世代広告配信サービスに迫る。
全6空港でデジタルサイネージ広告の一斉配信が可能に
2022年3月、全日空商事は羽田空港・長崎空港・阿蘇くまもと空港・宮崎ブーゲンビリア空港・鹿児島空港・中部国際空港のデジタルサイネージを国内で初めてネットワーク化し、このネットワークを活用した次世代広告配信サービス「TRAVEL MEDIA Airport Dynamic Ad Vision(トラベルメディア・エアポート・ダイナミック・アド・ビジョン)」の運用を開始すると発表した。
すでに2020年10月から羽田空港で運用されていたデジタルサイネージ広告をほかの空港にも設置し、全6空港で広告の一斉配信を可能としたものである。
空港間のデジタルサイネージ広告をネットワーク化するメリット
これまで空港内に広告を掲出する場合、各企業は空港ごとに広告枠を購入し、それぞれのデジタルサイネージ広告に合わせた広告素材を作成して入稿する必要があった。しかしデジタルサイネージ広告がネットワーク化されたことで、広告素材の一括入稿と一斉配信ができるようになったのだ。
メリットはそれだけではない。看板などのオフライン広告では切り替えにあたって莫大な費用と時間がかかるだけではなく、時期や利用者に合わせた最適な広告を掲示することが難しいデメリットがあった。しかしデジタルサイネージ広告では設置したAIカメラによってサイネージ前の通行者数や広告視認者層の把握ができるため、それらのデータを活用した、より効果的な広告発信が可能となるのである。
また、複数の空港に広告を一括で配信できる枠に加えて、空港ごとに地域枠が設定されている点も特徴だ。空港を訪れた旅行客に対して地域の観光やグルメなどの情報をピンポイントに提供できることから、TRAVEL MEDIA Airport Dynamic Ad Visionを通じた地域の活性化や観光需要の拡大も期待されている。