軒を連ねる店舗は閉店後にはシャッターを閉めて裏の顔を見せる。
その様子はどこか無機質で寂しそうな印象を与えかねないのだが、面が広いだけあり使い方次第ではインパクトの大きな広告面として活用できるメリットもある。
そうしたシャッターの特性を活かした、広い面をポジティブなかたちで活用した事例をご紹介していきたい。
「メルカリshops」がシャッター広告でPR
ネットショップとして有名な「メルカリshops」が、渋谷の空き店舗のシャッターに期間限定で広告を掲出した。
地方からの出店者の実店舗を再現しており、広告上に掲載した商品には二次元コードも反映。
そこから実際に商品購入ができるのだが、2日目で出店した11品中9品が完売したことは、リアルな施策がEC店舗への誘導を紐づける新たな実績ともなった。
シャッター面のメディア価値を新しいスタイルで上手く活用し、出店側の喚起と、消費者側の購入促進の両方を結びつけたことは話題を呼んだ。
KIOSK店舗のシャッターを広告枠に
駅構内などにKIOSKの店舗を構えるJR東日本リテールネットは、山手線内のKIOSK27店舗でシャッター広告に広告を掲出するサービスを開始した。
日中はひと通りが多いことでもニーズのある駅内だが、夜間や早朝などもひと足が絶えないので視認性が高いことでも知られる場所のひとつである。
コロナ禍による店舗の営業時間が変動するという点からも、非常に効果的な施策のひとつとも言える。
サントリーが「ザ・プレミアムモルツ」の広告を展開し、仕事帰りのサラリーマンたちが思わず生唾を飲み込みたくなるような広告を展開した。
街のにぎやかしにも活用されるシャッター広告
シャッター広告の役割は販促のためだけとは限らない。街の景観を活性化させるためにも活用された事例がある。
大分県大分市では「アートを活かしたまちづくり」の一環として、空き店舗のシャッターをキャンバスとして、イラストレーターの藤沢さだみさんにより絵が描かれた。
「待ちゆく人の心が少しでも癒されるように」という思いが込められたこの施策は、地元の人々の心を癒した。
また、神奈川県川崎区の消防団の器具庫のシャッターには、地元の高校生徒によりデザインが新調された。
市消防局のマスコットキャラクターをあしらった地域に残るものを手掛けることで、来年400年の節目を迎える東海道かわさき宿としては誇らしい広告物のひとつとなった。
販促としての役割から、集客としての役割、街の活性化という役割など多様な役割をもつシャッター広告。
今後も新たな役割を発揮しつつ、新たな広告枠としてより浸透していくことを期待したい。