自社の商品やサービスを宣伝する手法のひとつにサンプリングがある。とくに効果的な広告の場として注目を集めているのが、ホテルや旅館といった宿泊施設だ。今回は、宿泊施設におけるサンプリングの効果について解説する。
サンプリングとTVCMの宣言効果の違い
サンプリングとは、自社製品の試供品をユーザーに無料で提供する広告手法のことだ。いくらよい商品を開発したとしても、実際にユーザーに利用してもらえなければ意味がない。そこで、あえて無料で試供品を配布することで「実際に商品を使うとどのようなメリットを得られるのか」を体感してもらうのである。
それでは、実際にサンプリングはどれほどの宣伝効果が見込めるのだろうか。
GMOリサーチが「何がきっかけで今使っているブランドの商品を買い始めたのか」といったアンケート(2022年2月22日~24日・インターネット調査による)をおこなったところ、「TVCMを見て」と回答した方の数がシャンプーでは34.1%、アルコール飲料では54.4%、化粧品では27.3%にのぼった。一方、「試供品の利用がきっかけ」と回答した方はそれぞれ8.5%、9.4%、12.5%にとどまった。
しかし、TVCMの市場規模が1億8,393万円であるのに対して、サンプリング市場は最大で100億円の規模にしか過ぎない。これらを総合的に考えると、サンプリングによる商品認知の費用対効果はTVCMよりもはるかに高いことが分かるだろう。消費者としても、「商品を選んだ際に失敗したくない」という思いから、実際に使用感を確かめた商品を購買する傾向にあるといえる。
ホテルサンプリングの効果
ただし、サンプリングを効果的におこなうためには、商品のターゲットを明確に絞ったうえで施設を選定する必要がある。自社製品に興味のないターゲット層に配布したところで、それほどの効果は見込めないためだ。
そこでおすすめなのが、ホテルや旅館といった宿泊施設におけるサンプリングである。たとえばビジネスホテルであれば、出張目的のビジネスパーソンへのアプローチが可能だ。ホテルへのチェックインは基本的に夕方となることが多いため、夕食や入浴、睡眠などのシーンに合わせてホテルのフロントや客室で飲食物・浴用化粧品などの試供品を提供すれば、実際に使用してもらえる確率が高まるだろう。また、高級旅館では富裕層をターゲットとした試供品を配布することで、口コミによる拡散も期待できる。各宿泊施設がターゲットとしている層に合わせた試供品の提供がしやすい点も、ホテルサンプリングのメリットのひとつだ。
効率のよいサンプリングの実施を検討している場合は、ホテルや旅館などの宿泊施設を広告の場として活用してはいかがだろうか。