日本国内でも韓国アイドルの人気は近年では抜きん出ていて、ファンの熱は冷める気配がない。
最近の韓国で熱いのは、そんな韓国アイドルたちを応援する『センイル広告』を出稿する文化。
「センイル(생일)」とは韓国語で「誕生日」を意味することから「センイル広告」と呼ばれており、一般のファンたちが推しのアイドルのために出す、いわば応援広告のことである。
通常の広告は企業が営利目的として広告代金を支払うものだが、センイル広告はファンたちがファングループでお金を出し合って広告を出稿する。
ファンの心理にもとづいて広告を出すので、何かWeb上の数値的データを求める広告ではなく、とにかく目立つ広告が出されることが多い点が特徴。
「このK-POPアイドルのために何かしたい!」「推しのお誕生日を盛大に祝福したい」というファンの熱い想いが伝わってくるものが非常に多い。
BTS誕生日を祝うセンイル広告ではクルーズ船も出港

今人気のアイドルグループBTSのメンバー、ジョングクさんの誕生日を祝福したセンイル広告が話題に。
9月1日の夜、ソウルの中心部の川、漢江に「We Love JK」と書かれ派手にライティングされたクルーズ船が出現した。
港にはたくさんのファンが見守り、一見一大イベントに。
この広告は中国のファンが出資したクルーズ船で、その他含めたセンイル広告の出稿で出資金額は日本円で1億円を超える金額だという。
BTSの本拠地であるソウルでは、街のあらゆるところにBTSに向けたセンイル広告が溢れている。
バス停やバス、のぼりや看板広告など…。今やどれが企業広告かも不透明になり得ない。
韓国でセンイル広告が急増の理由。今後の日本では…?
韓国でセンイル広告が急増した理由の背景には、韓国のアイドルを国民がプロデュースした番組が影響を与えている可能性がある。
事務所に所属する練習生を公開オーディションする番組で、公式サイトやSNSで推しメンを選んで投票する仕組みになっている。
自分の推しのメンバーを応援したいという気持ちに火をつけるきっかけとなった番組が影響し、よりセンイル広告の拡大にも拍車がかかったと言える。
日本に韓国アイドルの人気が流入したように、センイル広告が日本で広まる可能性も十分にあり得るだろう。
一方、日本では「肖像権」「著作権」の壁が大きく訴訟などが起こる可能性もあり、事前に事務所や本人に素材利用許可を取る必要があるので、センイル広告を出すハードルが高いことも実態だ。
写真の無いセンイル広告はファンの気持ちも伝わらず蛇足なものになり得てしまう。
一方の韓国ではセンイル広告の文化が既に根付きつつあるので、ファンによる広告は黙認されていてファンにとっては好都合なようだ。。
日本でもセンイル広告が根付くのも、まだ時間はかかるかもしれないが、着実に広がっていくだろう。