普通に道を歩いているときに、前から歩いてくる人にぶつかられそうになったことがとても増えた。
コロナで不況が続き気分も落ち込む中、みんな無意識に下を向いて歩きがちになったのかもしれない。
広告の枠も変わってきていて、今では手元のスマホだけで完結できるようなWeb広告が主流になった。
そんな中で、とあるOOHが話題になったので紹介をしたい。
「タイポグリセミア」を活用した広告が話題に
「うえを むいるていと なにしから はけっんが あるでものす。きょうも あたなに いいとこが ありまうよすに」
どこが違うの?そう思った人も中には多くいるかもしれない。
よく見ると、文章が微妙に間違っていることにお気づき頂けただろうか。
秋葉原駅前の商業施設「ヨドバシAkiba」の交差点の消火栓の標識に吊るされた広告に、通行人をねぎらっている広告と思いきや、こんなトリックが隠されていた。
これは、文字を並び替えた場合でも語頭と語尾が正しいと読めてしまう「タイポグリセミア」という現象をつかっている。
コロナ禍での「広告不況」を背景にして、屋外看板などを制作する太陽巧芸社によって設置されたものになる。
老舗店のどら焼きのリニューアルも大成功!
この「タイポグリセミア」を使った広告の事例は他にもある。
富山県にある老舗のどら焼き店の「中尾清月堂」がリニューアル時に出した広告に、タイポグリセミアを使った広告を展開した。
「みまなさに だじいな おらしせ。 こたのび なかお せいげどつう が ぜたっい に ばれない ように どやらき の リニュアール を おなこい ました」
改良した点をクイズで答えるキャンペーンには3,000件を超える投稿が集まり、10日間で59,200個の売り上げも達成した。
外から見ただけでは品質の改良された点は分からないところと、意識して見なければタイポグリセミアを使ったパッケージの遊びにも気づかないところをユニークに表現したことが売り上げの向上につながったのだろう。
広告とは本来そういうモノ?
広告をじっくり見るというよりも、景色のひとつとして、何気なくながし見している人の方が多いように感じる。
だからこそ、3秒で伝わるコピーや、ビジュアルのインパクトに重きを置かれる傾向が強い。
しかし今回話題となった広告はその真逆の手法を使っていて、だからこそ話題を呼んだと言える。
広告の魅力や、企業の伝えたいメッセージを伝える手法は、もう出尽くしてしまったと思われがちの世の中で、広告の未来に光の道を作ってくれた広告のひとつかもしれない。