小説やマンガ、映画などのコンテンツを見て、感動のあまり思わず泣いてしまった経験のある方は多いのではないだろうか。
目が潤んで涙が溜まると、視界がぼやけるだろう。
広告のなかには、そのような涙が溢れて視界がぼやけた様子を再現したものもある。
これを「涙広告」という。
いったいどういうものなのか、実例を交えながら紹介する。
アニメ『宇宙兄弟』の感動を広告で表現
まずはこの画像を見てほしい。
これは、2012年4月1日から2014年3月22日にかけて読売テレビ・日本テレビ系列で放映されたアニメ『宇宙兄弟』の広告ポスターである。
そこには「土曜夕方5:30、宇宙兄弟。」と書かれているが、文字がぼやけてはっきりとは視認できない。
いったいなぜ、このような体裁としたのだろうか。
そもそも『宇宙兄弟』とは、主人公である兄・南波六太と弟・日々人が兄弟で宇宙飛行士となり、2人揃って月に立つ夢を叶えるために奮闘する物語だ。しかしその道のりは平たんなものではなく、時には苦悩する姿が描かれ、涙なくしては見られないシーンもある。
そこで、『宇宙兄弟』が「涙で画面が見えなくなる」ほどの感動作品であることをアピールするため、あえて涙でにじんだような広告を展開したというわけだ。
アニメ『王様ランキング』の告知でも「涙広告」が登場
同様の広告は、2021年10月15日からフジテレビ系列で放映中のアニメ『王様ランキング』のPR活動においても採用された。
『王様ランキング』は、耳が聞こえず、非力な王子ボッジが人の裏切りや過酷な運命に翻弄されながらも、世界一立派な王様になることを目指して懸命に奮闘する物語。今期一番泣けるアニメとして注目を集めている。
キャッチコピーは「涙を拭う。何度でも」。ポスターに掲載されたアニメのシーンもやはり、涙でにじんだ感じが表現されている。
ぱっと見たとき、いったいなんの広告かわからずに思わず足を止めてしまう人もいるだろう。しかしキャッチコピーを見ることで、これが「泣ける作品」を意味していることがわかるはずだ。
あえて涙でにじんだ視界を表現することで、感動的な作品であることを示す。シンプルな広告ではあるが、多くの人の記憶に印象を残す手法ではないだろうか。