メタバースが広がる起爆剤になったひとつに「バーチャル渋谷」がある。
バーチャル渋谷では、ライブやアート展示などのコンテンツを展開し、まるでリアルに渋谷を体験しているような感覚が得られることが話題を生んだ。
この「バーチャル渋谷」自体は、もともとはメタバースを作ることを目的としていたわけではなく『渋谷という街の体験を拡張する』ことが目的だったので、ここまでメタバースが話題を呼んでいる昨今を見ていると、まさに先端をゆく施策となった。
広がり続けるメタバース
メタバースの参入と広がりは甚だしい。
主にはゲームの世界に広告を出すことから広がりを見せており、エンターテインメント要素の強いゲームから、ブロックチェーンゲームにまで進出。
あの世界的に有名なディズニーでさえ、メタバースを取り入れることで現実世界と境界のないストーリーテリングを提供することを試みている。
ゲームという枠を超えて、アバターを通して意見交換やプレゼンなどのリアルな職場づくりができるなど、ビジネスの世界にも参入している点は目新しい。
メタバース進出に潜む危険性
メタバースの参入により、我々消費者が注意をしないといけない観点もある。
無限に広がるように見える仮想空間でありながら、実際は消費者がどこに行き何をしたのかなど全てのデータが把握されている状況にある。
興味関心そのものの生きた情報が集約される。
その情報が広告主の手に入れば、かつてないような精巧にターゲティング広告が打たれることに違いない。
また、全ての人物が3Dアバターのような姿で存在する仮想空間上では、もはや何がユーザーで何がAIなのかが分からなくなる。
あたかも人のように接してくるアバターも、実は広告訴求のデジタルヒューマンだったなんてことも容易にあり得る。
メタバース上では、ビジネスの領域においてもきちんと規制をしなければ、人間も安易にコントロールされてしまうという恐怖がある。
進むメタバース事業への本格参入
電通は今月、メタバースでのイベントや広告を支援するサービスの展開を開始した。
ARやVRなどの技術を活用し、メタバース上での最適な広告展開を全面的にフォローする。
博報堂DYホールディングスも、インターネット上のメタバースの広告事業に参入する子を発表。
オンラインゲーム上の仮想空間の広告枠を国内企業に販売していく見通しだ。
リアルでの広告展開よりも、仮想空間での広告展開の方が高い価値となる日も間近かもしれない。