「バ~ニラバニラバ~ニラ求人♪」や「職業イケメン」などの広告ビジョンを掲げ、時には大音量を鳴らしながら走る『アドトラック』を見たことがない人はいないのではないだろうか。
耳に残る大きな音量と、迫力あるビジュアルは、何気なく街を歩いている人の目に留まりやすく、記憶に残りやすいことからも多様な企業が広告媒体として活用している。
WebやSNS広告など、常に最新の広告が日々生まれる中、あえてこのようなアナログな広告手法がなぜ今でも使われているのだろうか。
アドトラックの裏側には緻密な戦略があった
アドトラックの走行ルートは、実は思い思いの方向に走り回っているわけではない。
きちんと広告主の要望に合った個別の走行ルートがアレンジされているのだ。
よく見かける風俗の募集広告の場合は新宿歌舞伎町付近の走行ルートが細かく設定されていたり、バンドのCDリリースの広告の場合は購買層と共通する層が訪れるコンサート会場の開演・終演の時間帯にトラックを走らせるなど、多くの工夫がなされている。
人力でアナログな方法だからこそ、その広告手法に工夫を盛り込むことができる媒体とも言える。
アドトラックのイメージ=広告主のイメージ
アドトラックが走行するのは公道になるため、事前に道路使用許可申請書を提出する必要がある。
「バニラの求人」のように音を出しながら走行するアドトラックに関しては、地域ごとに定められている「拡声機の音量基準」に基づき基準以下の音量に合わせて運用をしているだとか。
普段見かける時にはそんな決まりに則っているなど意識することがないのだが、想像以上に厳しい決まりや取り決めの中でアドトラックは走行しているのだ。
見る人の持つイメージはダイレクトにトラックに広告を出している広告主に跳ね返ってくる。
そのため、広告主に悪いイメージがつかないよう、業界全体が意識してきちんとルールを守った事業として取り組んでいる。
SNSで拡張するOOHの活用の最先端?
今や多くのモノコトがSNSの発達によってひとり歩きする時代となった。インスタ映えを目的とした、ネットにアップするための材料はそこら中にあふれている。
もちろん駅看板ひとつをとっても、ひとり歩きする時代となった。
好きなビジュアルやアーティストが映ったOOHであればすぐに写真を撮り拡散されるように、広告媒体も他のメディアとセットでプランニングされることが今では普通となってきている。
あらゆる媒体を上手く活用することで、世の中全体としての盛り上がりとして見せることが可能となったことの要因には、広告媒体の時代による変遷が関わっている。
繁華街で自らが媒体として動くアドトラックと、絶えず動いている人。その両者の働きかけにより、ますますSNSやWebでも拡散される広告効果が期待できる。
両者の良さを上手く活用しているアドトラックは、今後も広告媒体として消滅していくことはないのだろう。