性別や年齢、場所、さらにはハンディキャップの有無を問わないスポーツとしてe-Sportsが注目されている。
今では高校生を対象としたe-Sports甲子園が開催されたり、地方大会や全国大会なども数多く開催されているレベルだ。
そんなe-Sportsのひとつにパワフルプロ野球、略称「パワプロ」も含まれている。
最近、この「パワプロ」の中に出てくる広告の視認性についての、調査が行われた。
今も昔も野球ファンに愛され続けるパワプロ
様々なものがデジタル上でリアルにかつリアルタイムに視聴できるようになり、若者を中心としたテレビ離れが顕著になってきている。
パワプロも同様に、野球の中継を待たずして好きな時に野球観戦ができる魅力がファンを魅了し続けている理由だ。
パワプロは、コナミデジタルエンタテインメントから発売されている野球ゲームをリアルに再現したゲームで、多くの人に愛されて歴史も深い。
e-Sportsにからめた、「eBASEBALLプロリーグ」が話題になり、もうひとつのプロ野球として、注目されている。
そんな、ゲームのパワプロ上にも看板広告が露出していることをご存じだろうか。
「記憶に残った広告」はパワプロか野球中継か?
スポーツ産業に基づく、分析やインサイトを提供する、ニールセン スポーツ ジャパン株式会社は、e-Sportsの画面内に表示される広告とプロ野球中継で露出する看板広告が視聴者に同等の記憶を残す効果があることを発表した。
それぞれの視線の動きや、発汗や表情の変化を分析し、さらには被験者へのヒアリングも実施。
その結果、広告への注視時間や回数はいずれもプロ野球中継の方がパワプロ動画よりも多い結果に。
一方で、「記憶に残った広告」で両者を比較したところ、パワプロ動画の方がプロ野球中継を上回った。
この理由として、ニールセンスポーツは「5秒以上の露出は目が慣れ、認識力が大幅に低下するため、試合展開が早く、広告露出が短く回数の多い『パワプロ』のほうが記憶に残りやすかったのではないか」と分析をしている。
時代の変遷にともなう広告のあり方の変化
それぞれの露出に値する媒体価値を比較しても、「パワプロ」が40万8240円、プロ野球中継が41万571円と大差のない結果になった。
最近では、パワプロの事例と同様に、再燃したゲーム「あつまれ どうぶつの森」内で生活家電などをゲーム内で疑似的に体験することができたり、対戦ゲーム「フォートナイト」ではアイテムとして家電製品の接触機会を提供するなどもおこなっている。
PRの一環でありながら、広告らしくない消費者の接点づくりを実現した成功事例のひとつだ。
我々が普段何気なく接してきて「広告」だと思っていた物が、気づかぬうちに変化し今や違う対象物が広告としての機能を発揮しつつある。
今後、思ってもいなかったところで広告に接し、気づかぬうちに影響を受けている時代は思っているよりもすぐ訪れるかもしれない。