学生のころ、茶髪は許されなかった。
当時は疑問には思っていなかったが、染めずとも髪が茶色い女性は「地毛証明書」を提出していた。
しかし、よくよく考えれば「地毛証明書」とは矛盾を抱えた制度である。染めた茶色はNGで、染めた黒色ならOKなのか。そもそも、なぜ黒しか認めないのか。
そんななか、話題になった広告がある。
「この髪どうしてダメですか?」という鮮烈なキャッチコピーで、髪にまつわる校則にスポットライトあてた。
さて問題だ。この広告は、どこの誰が作ったものだろう。
「この髪どうしてダメですか?」
ヒントは4つめの画像に隠されている。
……タイムアップ!
正解は「パンテーン」の広告だ。髪にこだわりのない人でも、シャンプーのCMで見たことがあるだろう。
ようするにこれは、ブランディング広告だ。
パンテーンのブランドフィロソフィーには「あなたらしい髪の美しさを通して、すべての人の前向きな一歩をサポートする」という哲学がある。
「この髪どうしてダメですか?」という広告は、学生にも自分らしい髪の美しさがあって良いのでは、と社会に投げかけ、それに共感する学生あるいは親に、パンテーンというブランドを宣伝するための広告である。
パンテーン公式サイトには、この広告にまつわる、YouTube動画も公開されている。地毛証明書に疑問をもった事がある方は、ぜひご覧いただきたい。パンテーン公式サイト
社会への問題提起を代弁する
この広告は、各種SNSで大いに話題となった。ブランド広告としては、大成功と言えるだろう。
さまざまなニュースメディアでも取り上げられ、地毛証明書について、盛んな議論が自然発生的に交わされるきっかけとなった。
ユーザーに成り代わり、大きな声をあげる。そういった広告は、多くの支持・共感を勝ち取りやすいようだ。
先日筆者が書いた『「風邪でも頑張りましょう」メッセージ性を高める逆張り広告』という記事でも、逆説的に、社会へ問題提起をしていた。
広告の手法は様々だ。売りたいものを宣伝するだけでなく、企業ごと好きになってもらおう。そんな戦略も、時にはありかもしれない。