アムトゥルとは、消費者の購買行動に関する心理プロセスを指します。
Awareness(認知)、Memory(記憶)、Trial(試用)、Usage(本格的使用)、Loyalty(愛用固定)、それぞれの単語の頭文字を取って、アムトゥルと呼ばれるようになりました。
同じような消費者の購買行動に関するプロセスを表した言葉にアイドマ(AIDMA)、アイドマ(AIDMA)の法則、アイーダ(AIDA)、アイーダ(AIDA)の法則などの言葉がありますが、アイドマ(AIDMA)やアイーダ(AIDA)が短期的な購買行動の心理プロセスを表しているのに対し、今回解説するアムトゥル(AMTUL)は長期的な心理プロセスをモデル化したマーケティングの用語になります。
AMTULの各プロセス
Awareness(認知)
この段階では消費者はまだ商品やブランドのことを知らないので、まずは知ってもらう、認知してもらう必要があります。
Memory(記憶)
Awareness(認知)で商品やブランドを認知してもらっても、まだ消費者の中に商品やブランドの記憶が定着していません。
インターネットショッピングで商品を見つけたり、買い物中に見かけても商品やブランドのことを忘れていますので、「買おう」「購入しよう」という心理になることはありません。
Trial(試用)
商品やブランドの記憶が定着し、商品が気になり出しているけど、まだ「欲しい」「買いたい」という欲求はない段階です。
実際に商品を使用してもらうことで、商品やブランドを気に入ってもらい、「欲しい」と思わせるための段階です。
Usage(本格的使用)
Trial(試用)によって消費者が商品やブランドを気に入れば最初の商品の購入、初回購入に至ります。
Loyalty(愛用固定)
Usage(本格的使用)によって消費者が商品を初回購入し、商品やブランドを気に入れば、商品を愛用することになります。
この段階になれば、消費者は商品を愛用しているので、同じブランド、商品を継続的に購入するようになります。
AMTULの評価方法
アムトゥルの各段階でマーケティングの目標を達成できているかは数値化して明確に評価することができます。
「再認知名率」「再生知名率」「使用経験率」「主使用率」「今後の購買意向率」という5つの指標を利用することによって、アムトゥル(AMTUL)の各段階でどのくらい目標達成できているかを数値化してとらえることができます。
たとえば、「再認知名率」は「このブランドの商品を知っていますか?」という質問によって、ブランド名から商品を思い出せるかを測ることができます。
「再生知名率」なら、「●●の商品ジャンルで好きなブランドは何ですか?」と質問することでブランド名を出さずに消費者がブランドを思い出せるかを調査することができます。
まとめ
アイドマやアイーダという購買行動の心理プロセスのモデルが1回限りの商品の購入、購買行動を表しているのに対し、アムトゥルは初回の購入後も継続的に購入する継続購買の心理プロセスをモデル化しています。
高額な買い切り型の商品の場合、アイドマやアイーダなど1回の購買行動の心理プロセスのモデルを利用したマーケティングを仕掛けることが有効になります。
しかし、たとえば、化粧品など、ブランドや商品を愛用してもらい、継続利用、継続購入してもらうことが前提の商品の場合、アイドマやアイーダよりもアムトゥルを使ってマーケティングを仕掛けるほうが有効と考えられます。