アンゾフマトリックスとは、イゴール・アンゾフ博士が提唱した、企業の成長戦略を決定するフレームワークを指します。
縦軸を「市場」、横軸を「商品・サービス」とおき、さらにそれぞれを「新規」「既存」に分け、4象限にセグメント化、それぞれに対し、市場浸透、市場開拓、製品開発、多角化といった4種の成長戦略の方向性が導き出されるとされます。
アンゾフマトリックスの4象限
市場への浸透
「市場の浸透」では、新しいアイディアを開発するのではなく、既存の製品をより魅力的にし、すでに利用している市場で成功させるための新しい方法を見つけることを戦略の方向性とします。
すでにその分野で成功を収めているため、製品ではなくマーケティング戦略を変えて売上を伸ばすことが課題となります。
そのためには、プロモーションを行ったり、価格を下げたり、販売戦略を変えたりすることが考えられます。
例えば、地元のパン屋さんは、リピーターのお客様に無料でパンを提供するロイヤリティプログラムを提供することで、事業を拡大することができます。
また、ニュースレターに登録してくれた人には、無料で食事ができるクーポン券を送ることもできます。
このように、ビジネスや製品は同じでも、新しい戦略を打ち出していきます。
市場開拓
「市場開拓」では、市場への浸透が不十分な場合、製品を新たな市場に移すことを検討を推奨します。
例えば、新しい場所への出店、新しい顧客層の開拓、海外市場への進出などが考えられます。
これにより、成功した製品は新たな露出を得ることができます。
例えば、大人向けの靴下メーカーが、子供向けの靴下を発売するなど、ターゲットは異なりますが、基本的なコンセプトや素材はまったく同じで始められますし、新しい顧客層をターゲットにすることで、今まで以上に多くの靴下を販売することができます。
商品開発
「製品開発」では、既存の顧客層に向けて新しい製品を作ることを推奨します。
新しい商品を開発することで、企業への関心が高まり、より多くの商品を持つ競合他社を選んでいたお客様を引き留めることができます。
製品ラインを拡大することはリスクと費用がかかるため、この方法は綿密な調査と開発が必要です。
現在、製品開発の最も一般的な例の一つは、ストリーミングサービスです。
ディズニーやNBCのような企業は、すでにすべての視聴者にリーチしているかもしれませんが、ストリーミング・プラットフォームを開発することで、新たな収益源となるだけでなく、加入者限定のアイテムを提供することで、市場シェアをさらに強固なものにすることができます。
多角化
「多角化」では、新しい市場に向けて新しい製品を作ることを推奨します。
既存の顧客層や製品に頼るのではなく、ゼロから始める戦略です。
既存の商品とは関係のない商品を作る(非関連型多角化)のではなく、似たような商品を開発し、今まで培ってきた知識や経験を新しい事業に生かしていきます。
まとめ
「アンゾフのマトリクス」における最大のメリットは、どんな企業でも自社に当てはめて成長戦略を模索できる点です。
小さな会社であっても、アイデア、自社分析、顧客のニーズを組み合わせることができれば事業の幅は広がります。
自社だからこそできること、挑戦すべき方向性、現在の土台を大切にした成長か、全く違う新たな業界への参入などを洗い出すことが、事業成長を行う第一歩となると思われます。