ハインリッヒの法則(別名1:29:300の法則)は、1件の重大事故の背後に29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。この法則を導き出したハーバート・ウィリアム・ハインリッヒに由来して、ハインリッヒの法則とも呼ばれています。
アメリカの損害保険会社にて技術・調査部の副部長をしていたハインリッヒが1929年11月に、労働災害の発生確率を分析した結果を論文として発表したもので、1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、その裏には300件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大惨事になる)傷害のない災害が発生していたことを明らかにしました。
ハインリッヒの法則をどのようにビジネスに活かすか
この法則はビジネスにおける失敗発生率としても活用されています。
例えば、1件の大失敗の裏には29件の顧客から寄せられたクレーム、苦情で明らかになった失敗があり、さらにその裏には、社員が「しまった」と思っているが外部の苦情がないため見逃している300件のケース、つまり認識された潜在的失敗が必ず存在していると考えることができます。
簡単にまとめると、従業員が「しまった」と感じた数よりも、顧客は企業の提供物、サービスに対して不満をもっている数が圧倒的に多いと言えます。
顧客の側からの視点を加えると、顧客の不満、クレームをいかに迅速に効率的に察知するということが、重大な失敗を回避するだけでなく、顧客の不満足を満足に変え、顧客維持率を高める上で非常に重要なポイントだということがわかります。
まとめ
ハインリッヒの法則は事故や災害における原因の追及にとどまらず、ビジネスにおける失敗発生率としても応用できるものでした。この「1:29:300」という比率を単なる数字として捉えるのではなく、これを踏まえて問題解決の仕組みを作っていくことでクレームを積極的なマーケティングにつなげる、消費者の動向をつかむなどの際に活用できます。